シッダールタ  2008年07月14日

前から読みたいと思っていた、ヘッセのシッダールタを読んだ。
面白くて、一気に読んでしまった!
久しぶりに、水浴びをしてさっぱりしたような気分を味わった。
ヘッセと言えば「車輪の下」が有名だけど、
僕としてはこちらよりも「デミアン」の方が好き。
この本も、僕の周りには売ってなくて長らく読んでなかったんだけど、
思い出したときにあって良かった。

でも、この本って釈尊のことを語っているわけではないんだね。
僕は西洋文学を読むまでは、仏教というものの暗い雰囲気が嫌で、
(日本だと仏像とか、神社とか、古くさいものばっかりだったし)
どちらかといえばキリスト教とかの方がまだ明るく(!)て、
(天使とか神とか、キラキラしてるイメージ。マンガやアニメの影響だなぁ)
ましなものに思っていた。

日本の歴史の中では、仏教は無常や自我を滅するといった側面が
強調されて、苦悩からの解放という重要な面が薄い。
しかも、厭世的な念仏宗や浄土宗といった間違った亜流があるために、
(はては天台宗なんていう密教まで!)
暗くて、抹香臭くて、気味悪いものにしている。

そんなわけで(どんなわけで?)、西洋文明の人たちの中には
キリスト教の文化に限界と閉塞感を覚え、
異なる精神基盤に光を見出した人たちが多くいた。
その一人がヘルマン・ヘッセというわけだ。

この本では、シッダールタの遍歴を通じて、
小我からの解放、輪廻からの解放、
解脱とは何か、悟りの境地とはいかなることなのかを、
やさしく、軽やかな筆致で描き出されている。