プライド 2008年04月16日

仕事をしている人に聞いてみたいこと。
あなたにとっては仕事とは何でしょうか。

長いですが、引用を。

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子供のときから、周囲に職人さんがたくさんいました。
若い人もいるし、おじいさんもいます。
彼らがどのように仕事をするのか、を眺めているのが好きでした。
いろいろなタイプの人がいましたが、共通することがあるのです。

まず、黙々と仕事をします。難しい顔をしています。楽しそうではありません。
だから、昼のお弁当や、お茶の時間になると、すぐに仕事をやめて、休憩をします。
一区切りつくところまでやろう、ということはなく、すぐ切り替えられるようです。
そして、食事しながら、お茶を飲みながら、楽しそうに話をします。
みんなこの時は笑っているのです。仕事の話はしません。
食事のあとに昼寝をする人もいました。

時間が来ると、また黙って仕事を始めます。けっして慌てません。
走ったりすることはなく、いつも悠然と歩いて、ゆっくりと作業をします。
考えていることも多いようです。ずっと難しい顔をしている人ばかりです。

彼らは、自分のために自分の技術を使うことがありません。
たとえば、大工さんならば、自分の家を直したり、作ったり、
といったことをしそうなものですが、ほとんどしません。
つまり、趣味でやっているのではないのです。
彼らに見出されるものは、「楽しさ」ではなく「誇り」です。
自分にはそれができる、という仕事に対する誇りです。

どうも、近頃、周囲を見ていると、多くの人たちが、
自分の仕事に「楽しみ」を見出そうとしているように感じられるのです。
「誇り」を見つけようとしている人はあまりいません。
「好きなことをしたい」と彼らは言います。
「楽しい仕事がしたい」と望んでいるようです。
しかし、そもそも、仕事とは、その人にこそ「できる」ものだからこそ成立し、
社会的価値も高まるのではないでしょうか。
それが結局は「誇り」となるのでしょう。
「好きこそものの上手なれ」とはむしろ一般的には
そうでないからこそ生まれた反語にも思えます。
少しくらいは好きにならなければやってられないよ、
という教えかもしれません。
いかがでしょうか。

                       森 博嗣、浮遊研究室5
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お金を得るために仕事をするのだけれど、
自分の仕事に誇りを持ちたいものです。
そう、僕は僕にしかできないことをしたい。



N
「誇り」とはちょっと違いますが「自分にしかできない仕事をしたい」とは常々思います。
なので、引用文章で語られている「職人さん」はその代表的なものですね。
芸術家とか教師とか…個性の求められる仕事がしたいと思います。

……が、現実はなかなか厳しいので、何となく就いた事務職を始めて早や●年…。

収入源を断つことはできないので、今の仕事をやりつつ何か目指せたらなぁとかいまだに考える時があります。
もう「将来」を語る歳ではないですが

k
この引用した森博嗣ミステリィを書き始めたのが、
35歳過ぎてからだったようですよ。
ミステリィ好きの奥さんのために書いたところ全くの不評だったため、
名誉挽回するために出版社に持ち込んだのが始まりだとか。

確かに、なかなかやろうと思っても取りかかれるものではありませんが…(笑)
どうせならせめて、なんらかのきっかけは欲しいとは思いますね。