アリギエーリ 2007年04月

詩人ダンテは、正式な名前をDurante Alighieri、ドゥランテ・アリギエーリと言うらしい。
ドゥランテとは「堪え忍ぶ人」とか「永続する者」とか言う意味を持つらしく、手元の伊・仏・独の辞書で調べてみると現代語でも「待ち続けること」や「ずっと」といった感じの意味を持っているようだ。ドゥランテの短縮形で、ダンテと呼ばれていたらしい。

さて、ダンテと言えば有名なのが「永遠の恋人」ベアトリーチェに対する思慕だ。ダンテは9歳の時、同い年のベアトリーチェに出会い、「魂がおののくような」経験をしたという。
そしてさらに9年後、18歳の時に道で彼女と出会ったとき、生涯忘れられないような内的な経験をしたようだ。

700年以上たった現在ではベアトリーチェがダンテをどう思っていたかは定かではないが、様々な時代的・環境的要因もあっただろう、2人はそれぞれの伴侶を得て別々の家庭を築いた。しかし、自身が結婚し、24歳でベアトリーチェが死んでも、そしてその後もずっと、ダンテにとってベアトリーチェは永遠の憧れの人だった。

深く恋い焦がれた人間は、周りの目には熱に浮かされたように見える。それは激しい躁鬱の様相を呈し、些細なことに激しく反応する。もし平常の人間が見たならば、これほど気味悪いことはないように思える。
しかし、「若きウェルテルの悩み」について、もし生涯に『ウェルテル』が自分のために書かれたと感じるような時期がないなら、その人は不幸である、とゲーテが後年語ったように、熱病に浮かされるような、そんな激しい恋心を持ったことがない人はきっと幅の薄い人生を送ることになるに違いない。そしてそれはおそらく、10代のような若さでしか経験できないのだ。

世に多くの恋人たちが存在し、これからも好きになったり別れたり様々なことがあるのだろう。そうであっても、人がどうかではない、深く、強く、思い続ける強さをもちたいものだ。