クラシック  2007年04月

♪今アツイキセキが この胸に吹いたら
      時の流れも 水の流れも 止まるから

***の良いところは、キャンパス同士が近いことと(**除く)規模が大きいところかな。***にある理工学図書館には、それこそどんな本屋さんへ行ってもまず見かけることのない本ばかりが並んでいます。最近はここの利用がほとんどだけど、学部生の時は****キャンパス(通称『***』)の図書館もよく行ってました。大学の歴史が長いこともあって、蔵書量とその守備範囲はなかなかのものです。
他の図書館に欲しい本があった場合、キャンパス同士が遠い**や微妙に2つのキャンパスの距離が離れている**ではどうしてるんだろう?
ともかく、今ではなかなか手に入らない本、高すぎて買う気にならない本は借りに行ったりしています。

今回借りた本は「ダンテ『神曲』講義」・今道 友信 著。
値段が高すぎて借りに行ったのですが、内容を読んだらちょっと買ってもいい気がしてきました…。気になる方はamazonとかで調べて見て下さい。

本好きを自負している僕ですが、今までで唯一「読むこと」のできなかった本が「神曲」ダンテ(岩波文庫版)。
どうやら雅語というので書かれているらしく、日本語で書かれているはずなのに半分も意味が分かりませんでした。あんなの読める人いるのかよ、みたいな。戦前の知識人じゃないと無理なんじゃないのかな。
なんとか地獄篇を読み切ったところでもうダメだ、と感じたので、まともな(!)日本語で書かれている他の翻訳本で読んだのですが。

昔歴史で中世やルネサンスを習ったときに、曲(音楽)でもないのになぜか教科書に出てくるこの神曲がけっこう気になってました。伊語でLa Divina Commediaと言うらしいんだけど、要はDivina=神の、Commedia=喜劇。といっても、別に漫才してはるわけではなく、ハッピーエンドで終わるものは喜劇(=コメディ)と言われます。神の、というのは後の人がつけたらしいんだけど、ダンテが地獄、煉獄、天国まで経巡る様を描いているから。

さて、だいぶ長い前置きになったけど、この講義本で良いことが書いてあったのでご紹介。
この書いている人は哲学者らしいんだけど、とても分かりやすい平易な言葉で書かれていて、ちょっと読んだだけでぐっと引き込まれちゃいました。
最初の章で、古典(クラシック)とは何かについて書かれていました。まず語源から説明されて、どうやらギリシャ時代の「艦隊」から来ているらしい。戦争があったときに、戦艦を寄付できるような富裕な人間、それも1隻ではなく何隻もできるような。そうやって寄付された艦隊のことを「クラシス」と呼んでいたらしい。その後、そこから転じて「大きな力を与えるもの」をクラシックと呼ぶようになったんだとか。

基本的に僕は古典、と呼ばれるものを好んで読んできたんだけれど、まさにこんな感じ。古典と呼ばれるものはすべからくその思想だったり、物語の描き方だったり、着想の広がりだったりいろいろ素晴らしいんだけど、何よりも書いた人の人格が如実に反映されている点。人生の艱難によって鍛え上げられた人格に接すると、自分も力を与えられる思いがします。
音楽でもそうだけど、いろんな曲の中でも聞いてて気持ちがいい、元気が出るって曲は多いし、いい曲だなって思うけど、クラシックは精神的に昂揚するって言葉がぴったりくる気がする。

他にも興味深いことがたくさん書かれていたので、時間があればご紹介したいと思います。
急いで書いたので、構成も読みやすさもあったものじゃないですが。