アラビアン・ナイト その2

アラビアン・ナイトには
その物語のところどころに詩が挿入されている。

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財産の貴重さについて

「貧しき頃は
 われは友より認められざりき。
 いまや 彼らはにわかにわが門口に群がりて
 わが食欲も絶たんとす。

 おお!いかに数多なる酷き敵どもを
 我が富は手懐けしよ。
 されどまた
 いかに数多なる敵をわれは得ん、
 もしわが富の減じたるときは!」


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人の意見の貴重さについて

「汝の意見は 忠告を与うる者との意見を併すべし
 ことの成果をさらによく確かめんために。
 汝、顔を見んと思わば ただ一枚の鏡にて足らん。
 されど もし調べんと欲すところが汝の暗き背中にてあらば
 二枚の鏡の働きなくして
 そこを照らすはかなうまじ!


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ある人があるときサフィアーンに訊ねました、
「金持ちの人は有徳であることができますでしょうか?」
サフィアーンは答えました、
「いかにもできるが、それは、
金持が己の運命の浮沈に対してよく堪え忍ぶときと、
自分が恩を施した人に対して、
『おお、友よ、君のおかげでおれは
アッラーの前で香気ある行いをすることができた!』
と言って、これに感謝するときに、そうなれるのだ。」

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アラビアン・ナイトのおかげで、イスラム世界に対して
その宗教と慣習における知識を知ることができた。
いかにも、敬虔なムスリム(回教徒)の謙譲と
神に対する畏敬には尊敬せずにはいられない。

なんどかここで語ったことだが、
自分が良いことをしたことについて、
相手に対し返礼と感謝を求めるのでなく、
良いことをできる機会を与えてくれた
その相手に対して感謝できる心をもつことは
幸せであり、豊かであることだろう。


(2006.03)